離れやすいことが、きっかけでした。

水に溶けることだけが、水溶紙の特性ではありません。
ここから発想を広げてみましょう。
ある未開の島に靴を売りに入った、2人の靴のセールスマンの話をご存知ですか? 島の住民はみな裸足で誰も靴をはいていませんでした。1人のセールスマンは「ダメだ。これでは靴は売れない」と落胆してつぶやいたそうです。ところが、もう1人は喜んでこう叫びました。「やった! 靴は飛ぶように売れるぞ!!」。
発想の転換とは、こうしたものではないでしょうか?
私たち日本製紙パピリアは、開発した水に溶ける紙を、読んで字のごとく「水溶紙」と呼んでいます。でも、その特性は水に溶けるだけではないのです。裸足の人に靴は売れないという常識だけにとらわれていると、可能性は前に進んでゆかないのかもしれません。

紙は水に濡れると繊維が離れるという性質があります。
こうした性質への着目が、開発の鍵(キー)になりました。
紙は原料である植物の繊維どうしが接着してできています。そもそも、繊維間の結合が強くなければ、紙はつくれません。
「水溶紙」は、その結合の強さをぎりぎりまで低くして生まれた紙なのです。繊維が非常に離れやすいこの紙を水に入れたら、どうなるか? 結果は、瞬時にしてバラバラに溶けてしまうことになりました。
どんな紙でも水に何日もつけていれば、いつかは溶けます。トイレットペーパーがその好例です。しかし、極めて短時間でバラバラになってしまう紙は、水溶紙の他にありません。
水に溶ける紙を意識して開発したわけではなく、この結合の弱さ、つまり離れやすさに着目したことから、この「水溶紙」は誕生しました。

開発のきっかけになる技術。
私たち日本製紙パピリアはそれをキーテクノロジーと呼んでいます。
この離れやすさが、「水溶紙」のキーテクノロジーです。水に溶けることだけが水溶紙の特性ではない、と先ほど述べました。では、水ではなく他の液体ではどうなるのか?雨が降ったら溶けるという発想からアプローチできないか? 重ね合わせてプラスチックに変わるものをつくれないか? そんな疑問や知的好奇心が、この水溶紙の用途を無限に広げていきます。
たとえば、水溶紙には、アルコールには溶けないという特性もあります。そのためにボールペンで文字を書くこともできます。繊維の結合が驚くほど弱いという以外は、見た目も、感触も、普通の紙とまったく変わりません。
「水には溶けて、アルコールには溶けない」。溶けやすい対象と、溶けにくい対象を並べて考えると、新しい切り口が見えてくることもあるでしょう。少し視点を変えただけで、この「水溶紙」から引き出される未来も変わってくるはずです。

日本製紙パピリアには、お客様のアイデアにお応えできる開発力があります。
私たちと新しい何かをつくりませんか?
繊維が非常に離れやすいこの紙の特長のひとつが、水に瞬時に溶けるということです。私たち日本製紙パピリアは便宜上、これを「水溶紙」と呼んではいますが、その特性は、ほんの一部に過ぎません。
水に溶けるという特性だけに目を奪われてしまうと、可能性は狭くなってしまいます。「水溶紙」という名称をまったく違った名称に変えてしまうような用途を日本製紙パピリアは絶えず追求しつづけているのです。
「この紙を、こんな製品に使えないか?」「この紙に、こんな特性をプラスできないか?」「この紙で、こんなモノはつくれないか?」。
あらゆるジャンルの技術者や開発者の方々のリクエストに、紙のことを知り尽くした日本製紙パピリアが、長い実績と経験に基づく開発力でお応えしたいと考えています。ぜひ、私たちに皆様の声を聞かせてください。

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